この記事を見てコンビニ経営に興味を持ち「コンビニオーナーになってはいけない 便利さの裏側に隠された不都合な真実」といった書籍などでコンビニ経営の事を調べてみたら、かなり異質な経営をしている事がわかった。今の時点で私がわかっている範囲でこのコンビニ経営の問題点を記しておこうと思う。
問題点その1~「コンビニ会計」という会計処理
まず違和感を覚えたのはコンビニ独自の会計処理だ。通常の会計処理(一般会計)とは別の会計処理により利益の計算を行っている。これを「コンビニ会計」という。
この「通常の会計処理」と「コンビニ会計における会計処理」を見ていこう。
<通常の会計処理>
これが通常の会計処理だ。
「売上高」は、私たちがコンビニで商品を買った代金を指す。
「売上原価」は、売上に対応した商品原価を指す。
「廃棄原価」は、未売上の商品原価を指す。
「売上総利益」は、商品販売した場合の利益であり「粗利」とも言われている。
この売上総利益を「コンビニ本部」と「店舗経営者(オーナー)」で分け合っていく。その割合は、「本部6:オーナー4」から「本部7:オーナー3」くらいと言われている。
これが大まかな通常の会計処理だ。
次に、「コンビニ会計」を見ていこう。
<コンビニ会計における会計処理>
この会計処理の特徴は、「廃棄原価」の取扱いが特殊だということだ。この後の流れを図に示してみる。
この図に示した通り、廃棄商品の原価はオーナー負担なのである。これだけでは何が問題なのかあまりわからないかもしれない。
しかし、このコンビニ会計に加えて値引制限とドミナント戦略を加えたらどうなるか、これを考えていこうと思う。
問題点その2~ 値引制限
わかりやすく値引制限と書いてるが、別名で「見切り販売の制限」という。コンビニで値下げをあまり見ないのは本部が値引きをよく思っていないという事情からきているそうだ。値引きをよく思っていない理由は正確にはわからないが、この辺はいろいろ考えられる。
まず、本部は廃棄が出ても「少しも損をしない」のだ。上記の会計処理の流れ図をよく見たらお気づきになると思うが、本部は「コンビニ会計」を用いた会計処理をすると、100%赤字が出ないのだ。正確には少し違うかもしれないが、廃棄原価をオーナーに負担させた時点で損失は全てオーナーが被ることが決定している。
当然の話だが、オーナーは値引販売をしてなるべく商品を全て販売してしまいたい。なぜなら、売上が伸びるというのもあるが、廃棄が出なければ商品原価を「本部」と「オーナー」の両者で負担することになり、オーナーの負担が減る仕組みになっているからだ。
しかし、本部としては値引販売されてしまうと売上の旨味は減るにも関わらず原価を負担しなければならなくなる。コンビニに売り切りが定着して大幅値下げをすれば、「損失(原価割れ販売)」を本部とオーナーで分け合うことにもなりかねない。
こういった背景によって本部は値引きをよく思わないと考えられる。本部は「廃棄予算」なんていうのも組んでいるくらい、廃棄を想定して商売をしているのだ。
問題点その3~ ドミナント戦略
コンビニの経営戦略を語るうえで私たちもよく知っているのがドミナント戦略だ。これは地域にたくさん店舗を出店することでその地域の独占などを画策する戦略である。
このドミナント戦略を行うことの問題点の1つとして「店舗ごとの売上が減る」ことがあげられる。
上記の「コンビニ会計」と「値引制限」に加え、「ドミナント戦略」による店舗ごとの売上減少という3重苦によってオーナーは過重な負担を背負わされているのだ。
一方で、本部は赤字を計上することなく利益を頂けるという仕組みになっている。
私の意見
2017年の5月にセブンの社長がこんなことを言っていたので載せておく。
私はこんな経営はおかしい(労働者搾取)と思う。コンビニ経営の問題点をいろいろ上げたが、最大の問題点は「コンビニ会計」という搾取システムだろう。24時間経営の有無も考えるべきだが、この搾取システムを変えない限りコンビニ問題が解決することはないと考えている。一刻も早くセブンには「コンビニ会計」を見直してほしい。
契約も大事ですが、セブン・ジャパンは売上高8498億円、うち加盟店収入7433億円、驚異の粗利率91.5%を達成しており、それを還元なされてからでもよいのでは。 pic.twitter.com/WZn5jKttTa
— Ryo Kawada (@Ryokawada1) March 24, 2019